ラッシュライフ <伊坂 幸太郎さん>

2009年4月4日「ラッシュライフ」(文庫本)を読みました。

  • 感想 <ラッシュライフ>

    • 5つの話が並行して進んでいくので、
      初めて読んだときは、少し頭が混乱気味だったのが、
      再読となると、安心して読めたし、
      先を知っているだけに、細かい部分まで読み逃すこともなく
      愉しんで読むことができた。

      ほんとに、うまく構成されている小説だと思う。
      伊坂さんという方の頭の中は、どうなっているんだろう。
      素晴らしい。

      この小説の最後の部分に出てくる、「だまし絵」の中にいる、
      「屋上から離れて一人だけ、その行進を見上げている男」、
      これは、もしかしたら伊坂さんなのかもしれないと思った。

      5つの話の中で、一番の興味は「黒澤」だ。
      他の伊坂さんの作品の中にも登場するキャラクターでもあるし、
      「泥棒」でありながら、そのセリフが深いところが好き。

      5つの話が並行して進むため、シーンがころころと変わる。
      それをわかりやすくするための、配慮なのか
      シーンが変わるたびに、小さな挿絵というかアイコンが描かれている。
      そのため、誰の話(どの話)なのかが、わかりやすい。

      この手法は、動物園のエンジン(フィッシュストーリー)でも使われていた。
      そういうのって好きだなぁ。


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  • あらすじ <ラッシュライフ>

    • 画商の戸田と画家の志奈子
      泥棒・黒澤と同級生の佐々岡
      新興宗教の教祖にひかれる河原崎と塚本
      精神科医の京子とサッカー選手の青山
      失業中の豊田と野良犬

      この5つの話が並行してすすんでいく。
      それぞれ別の人生の話だというのに、
      意外なところで結びついていく、だまし絵のような結末。


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  • 好きな言葉 <ラッシュライフ>

    • 再読の「ラッシュライフ」。
      この小説の中にも、いい言葉だなぁと思うフレーズがたくさんあった。
      それを、ここに残しておきたいと思う。

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      P224 「未来は神様のレシピで決まる」



      このセリフは、伊坂さんの小説の中によく登場する。
      あたしは、このセリフが大好きだ。

      「ラッシュライフ」の中でも、このセリフのあとに
      「運命というよりはよほどいいと思わないかい」と続く。

      うん、ほんと、ホント!
      「運命」なんてことばで、未来を決められてるとは思いたくない。



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      P248
      「若者は自分のことを棚に上げることに関しては、秀でている。
      棚に上げたきり二度と降ろさないのがあいつらのやり方だ。」


      うまいなー、この言い回し。
      「棚に上げたきり二度と降ろさない」っていう表現がお気に入りです。



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      P277
      「(おれは泥棒のプロフェッショナルだが)
      人生については誰もがアマチュアなんだよ」


      「誰だって初参加なんだ。人生にプロフェッショナルがいるわけがない」と、続く。



      ああ、まさにその通り。
      肩の力がスッとぬけていくような言葉だ。




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      p358

      「分かり合おうとするから、辛いのかもしれない。
      相容れないもの同士なのだ。それを前提にすれば、気は楽だ。」




      そうか、そう考えれば、確かに気が楽になるかもしれない。
      何とか、自分の気持ちをわかってもらおうと考えるから無理があるのかもしれない。
      相容れないもの同士・・・なるほど、それが前提か。



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      心を豊かにしてくれる伊坂幸太郎さんの言葉集*名言「本棚のしおり」はこちらです
  • 作品間リンク <ラッシュライフ>

    • 「ラッシュライフ」を再読。
      この小説は「作品間リンク」がたくさんある。

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      「黒澤」

       プロの泥棒


      重力ピエロ
      「サクリファイス」(フィッシュストーリー
      「ポテチ」(フィッシュストーリー

      泥棒だったり、探偵だったりする黒澤。



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      「伊藤」
       佐々岡の勤める画廊に出入りしていた額屋のアルバイト


      オーデュボンの祈り
      重力ピエロ
      「動物園のエンジン」(フィッシュストーリー

      システムエンジニアだったり、コンビニ強盗を起こしたりする伊藤。



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      「河原崎の父」
       ビルの17階から飛び降り自殺をする


      「動物園のエンジン」(フィッシュストーリー)で、主人公の先輩として登場する。



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      「高橋」
       宗教団体の教祖

      重力ピエロ」の中で、泉水が高橋のことを思い浮かべる。


      「動物園のエンジン」(フィッシュストーリー)で、
      後に恩田は新興宗教にのめりこむとあるが、この宗教の教祖が高橋と思われる。



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      「佐々岡」
       黒澤の同級生


      「サクリファイス」(フィッシュストーリー)に登場する、
      柿本の作品を扱う画廊主は、この佐々岡ではないかと思う。




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      「老夫婦」
       黒澤の財布を奪おうとする老夫婦強盗


      フィッシュストーリー」の中で、橘麻美と瀬川と乗り合わせる老夫婦

      「サクリファイス」(フィッシュストーリー)の中で、
      黒澤がこの老夫婦のことを思い出すシーンがある。




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      「タダシ」
       黒澤に郵便局強盗を一緒にやろうともちかける


      「ポテチ」(フィッシュストーリー)に出てくる、空き巣の今村忠司は、この「タダシ」だと思う。

      首折り男のための協奏曲(月曜日から逃げろ)」の中で、大西若葉の話の中に「今村」が登場する。




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      「中村親分」
       空き巣の「タダシ」が「親分」と呼んでいるのは「ポテチ」(フィッシュストーリー)に出てくる、 中村親分(専務)のことだと思う。

       「月曜日から逃げろ」(首折り男のための協奏曲
         空き巣の黒澤に情報を提供する、同業者の中村は、空き巣のタダシの親分=中村と思われる。



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      「映画館爆破未遂事件」
       宗教団体教祖の高橋が真相を言い当てる。


      陽気なギャングが地球を回す」の4人が出会い、ギャングの結成となるきっかけとなる事件。




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      「お面強盗事件」

       豊田が乗ったタクシーの中で、 この事件がラジオのニュースで流れる。


      チルドレン」で、鴨居、永瀬、陣内がこのお面強盗事件に遭遇する。



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      「神様のレシピ」と「案山子」

       佐々岡が「伊藤」が話していたという
       「神様のレシピ」と「案山子」の話を黒澤に話す。


      オーデュンの祈り
      重力ピエロ」 
      グラスホッパー」でも、この話は出てくる。



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  • 単行本 <ラッシュライフ>

  • 文庫本 <ラッシュライフ>

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